永住権を取得するまでの時間
長年に渡る海外生活にピリオドを打って日本へ帰国する場合、その多くは「日本に完全帰国する」という決意を持って日本に入国して来られると思います。気持ち的には「日本に永住する」というつもりで入国なされると思います。
ただ、日本に入国するときに最初に手渡される在留カード(外国人が常時携帯を義務付けられているIDカード)には「1年」「3年」あるいは「5年」という有効期限が付されているため、ご帰国時点ではまだ「永住権」ではありません。在留カードに記載されている年数後に更新手続きが必要になります。
もちろん皆さまは「日本に完全帰国する。」「老後を過ごすために日本に帰る。」おつもりで日本に移住されますので、「日本に永住するのだ。」と思ってくださって構いません。その意気込みは、永住権を取得するまで保持していただきたいと思います。
実際、日本の永住権(正式名称は「永住者」という在留資格)はアメリカや他の海外からの帰国時、新規入国するときに最初から貰えるものではなく、いくつかの段階を経て獲得するものでございます。
上記のような流れで数年をかけて日本の永住権を取得していくことになります。
永住権取得まで、どのくらいの時間がかかるのだろう?
では、日本の永住権を取得するには、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。出入国在留管理局が公表している「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改定)によると以下のように示されております。
(元日本人の場合)
- 1年以上本邦に継続して在留していること。
(日本人と結婚している外国人配偶者の場合)
- 引き続き1年以上本邦に在留していること。
- 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していること。
(日本人、日本人と結婚している外国人配偶者、共通して)
- 最長の在留期間をもって在留していること。
「元日本人」の方は、ご帰国されてから1年以上継続して日本に在住していればよく(なるべくならば、海外旅行などで日本を出国しない方がいい。)、
「日本人と結婚している外国人配偶者」の方は、引き続き1年以上本邦に在留していれば、日本の永住権を取得するための要件のひとつは確保できることになります。
また、「最長の在留期間」とは5年ビザ(5年間の在留カード)を言いますが、令和9年3月末までは、3年ビザ(3年間の在留カード)も「最長の在留期間」として扱われることになっています。
(令和8年2月24日の入管の発表によりますと、令和9年3月をもって、3年ビザ保有者の「最長の在留期間」という扱いは終了となることになりました。それ以降は、5年ビザ保有者だけが永住許可の対象となります。)
また、年数的な要件をクリアしていれば、必ず日本の永住権が許可されるわけではなく、他に以下のような要件がございます。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能有すること(重要)
- 罰金刑や懲役刑を受けていないこと
- 公的義務(納税や医療・年金保険料など)を適正に履行していること(重要)
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
やはり、日本の永住権を取得するには、それなりのハードルが設けられていると思います。
ただ、当事務所がこれまでにご依頼を受けて取り組んできた案件を振り返ってみますと、「元日本人」そして「日本人と結婚している外国人配偶者」の方は、日本に移住・帰国をされた後、割と早期に永住権まで辿り着いているケースが多いように思います。
ご帰国してから初回のビザ更新(在留期間更新許可申請)を迎える前に、永住権の申請(永住許可申請)を行い、許可されるケースも珍しくはありません。
元日本人の方は、ご帰国の際の在留資格認定証明書交付申請(新規の入国申請)で、3年もしくは5年の在留期間をもらえるケースが多いです。
また日本人と結婚している外国人配偶者の方も、婚姻期間が長い人は最初から3年の在留資格を手にする場合をよく目にします。
ここでまず、「最長の在留期間」の要件を確保できることになります。(*1年の在留期間が決定される場合も、もちろんあります。)
そして、「元日本人」「日本人と結婚している外国人配偶者」の双方とも、ご帰国してから1年以上日本に継続して在留していれば、もう一つの要件が確保できることになります。
ここで、年数的な要件は2つともクリアになります。
また、アメリカで長年生活をされて日本にご帰国される方々は、日本で生活するのに十分の資産をお持ちである場合が多いので、「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有する」の要件がクリアになります。
もちろん、日本の永住権が許可されるためには、ご本人の個別の在留状況も考慮されますので、一概にいうことは難しいのですが、印象としては他の外国生まれ、外国育ちの就労ビザ系外国人よりも、「元日本人」や「日本人と結婚している外国人配偶者」の方が、はるかに永住権に辿り着きやすい、という傾向はあるかと思います。
もし日本入国時に3年・5年の在留カードを得ることができれば、入国後1年を経過して、在留カードの期限を迎えるまでの間に永住ビザ申請をし、永住権を取得することも夢ではありません。
もし、日本入国の時に1年の在留カードであったとしても、1年後の更新手続きで3年or5年の在留カードを取得することができれば、年数的な要件2つ(1年以上本邦に継続して在留、そして最長の在留期間)が揃いますので、その時点から永住ビザの申請は可能となります。
審査の厳格化が懸念材料
「元日本人」や「日本人と結婚している外国人配偶者」が他の類型の外国人よりも永住権にたどり着きやすいことは確実に言えるのですが、ひとつ懸念する点があります。近年、永住権申請の審査がとても厳しくなっていることです。
高収入とか潤沢な資産を保有している、安定した婚姻生活など、審査でプラスに働く要素を多く持っていたとしても、税金や公的年金・医療保険料の納付が納期限に遅れてしまったなど、些細なマイナス要素がひとつあるだけで不許可にされてしまうケースが目立っております。
入管に聞いたところ、「審査の過程で消極的要素(つまりマイナス・ポイント)が一つでも見つかりましたら、その時点で審査は終了し、不許可としております。」という審査体制を取っているようです。
昔は永住権申請といえば、ビザ更新申請に少し書類を付け足すくらいの感覚で気軽に申請して、許可もしっかりと取得できておりました。しかしこの数年でその傾向はすっかりと変わってしまいまして、現在では「誰が取ることができるのだろう?」というくらいの難しい申請となってしまっております。
審査が厳格化された理由は、おそらく申請件数が多すぎること、永住権を取得する外国人が増えすぎたこと、そして永住権を持っているにもかかわらず犯罪に関与する外国人が目立ち始めたことだと思います。
以前は日本国内も外国人全般に対して、もう少し寛容だったような気がしますが、ここ最近は風向きが変わり、外国人に対して逆風が吹いているような感じがしております。
審査期間も長期化する傾向にあり、東京入管では数年前までは申請してから6か月~10か月くらいで結果が出ていたものですが、現在では1年半~2年くらいの時間をかけるようになりました。
当事務所としては、審査期間は入管の都合ですのでどうすることもできないのですが、審査が厳格化されていることについてはしっかりと対応して、ご依頼いただいた案件は確実に許可をいただけるようにしたいと考えております。

