「どうしてわざわざ、そんな高いお金まで出して頼む必要があるんだろう。」 「申請書なんて、自分で書けばいいじゃないか。」
当ホームページをご覧になっていて、このように思っていらっしゃる方はいると思います。実を言うと私も、この行政書士という職業を始める前はそう思っている節がありました。 入国管理局には数種類の申請フォームが備えられており、それにはちゃんと必要書類一覧まで添付されております。申請フォームを見ても、パスポートなどを見ながら埋めていくことができそうに思えましたし、必要書類もそれを見ながら揃えられそうな気がしました。ここにどうして行政書士なんかが関与する余地があるのだろうかと、正直そう思っていました。「こんなの自分でできそうじゃないか。仕事になんかならないのでは。」そんなふうに感じておりました。
しかし、必ずしもそうでないことが分かりました。
私は行政書士になってから間もなく、入管業務を専門に扱っている行政書士事務所で業務を勉強させていただく機会を得ましたが、そこですぐさま突きつけられた現実がありました。それは「ビザ申請は、申請書を提出=許可 では必ずしもない」ということでした。 どういうことかと申しますと、入管は提出された申請書類一式を許可基準に照らし合わせて審査をしていくわけですが、当案件が入管の設定する許可基準に達していることを申請書の中で証明していく作業が、場合によってはとても難しいのです。その許可基準はたとえば就労ビザの類は法律で定められており、結婚ビザなどの類は入管内部である程度決められておりまずが、前者の基準は明文化されているとは言っても一般的に広く知れ渡っているものではありませんし、また後者の基準はあまり公にはされていないうえに、時の状況にあわせて絶えず変化をしております。一般の方がこの入管申請に挑戦した時に、果たしてこの許可基準を意識した申請書類一式を作成することができるかどうか、懸念されるところであります。 入管に置いてある必要書類一覧には「これをクリアすれば許可が出る」といった明確な許可基準についてはまったく触れられておりません。許可基準は入管六法(日本加除出版)のような文献を購入すれば載っております。しかし、日常的にこのようなビザ申請業務をやっていない方が、いきなりこのような書物を見て正しい理解ができるでしょうか。また「結婚ビザ」のように時によって許可基準の傾向が変化しやすいものに対して、現在の傾向に即した申請書類および立証資料を用意できますでしょうか。 おそらく難しいかと思われます。
一般の方が申請書類を作成すると、入管が重視するポイント、つまり申請人が許可基準に達している事実の記述・説明が不十分であったり、それを裏付ける立証資料が欠けていたりという、詰めの甘い申請書になりがちです。そうした不明確な申請がなされた結果、どういうことになるかというと、審査が順調に進まず、結果が出るのにとても時間がかかったり、最悪の場合は不許可ということにもなりかねません。(入管はよく分からない、はっきりしない事柄については、申請者にとって好意的に解釈してはくれません。) そして自分で申請をなさる方は、ご自身のことあるいはご自身の関係する方の状況を申請書に盛り込んでいくことになりますが、一番よく知っているはずのご自身の状況を文章で正確に説明することができない人は案外多いのです。文章を考えるのが得意な方・不得意な方がいらっしゃると思いますが、自分のおかれている立場・状況などを簡潔明瞭にまとめるという作業は、案外やさしくはないのです。
小職は2003年に行政書士登録をして以来、ビザ申請業務に携わって5年目となりますが、これまでのことを振り返って思うのは、「入管申請はある意味、不許可を前提としている申請である」ということです。 どうも役所に対する申請というと、市役所等で住民票の請求をすればすぐに交付を受けられるような簡単なイメージがありますが、こと外国人の入国・在留に関する入管への申請は、上記の点で一致していると思います。 日本に新規に上陸するために行う「在留資格認定証明書交付申請」や、日本に在留しながらビザを変更する「在留資格変更許可申請」は、様々な基準をクリアしなければ許可には至りませんし、ビザ更新申請でさえ法律の文言では「更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」となっております。これは国際化の流れの中で外国人との交流を積極的に推進していこうという日本国内の動きがある一方、外国人の受け入れに関しては慎重あるいは消極的である入管当局の姿が垣間見れます。 入国管理局は「そう簡単にはビザは出さない」という姿勢で審査をしていきます。その様な態度で臨んでくる入管担当者を説得し、許可を得られるだけの申請書一式を作成できる自信はありますでしょうか。